三国間貿易するなら移転価格税制に要注意

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貿易関連

三国間貿易をはじめるときに、まず検討すべきなのが移転価格です。移転価格(Transfer Pricing; TP)とは、わかりやすく言うと企業グループ内の取引価格です。

例えば、日本のメーカーが海外の子会社に自社商品を輸出(販売)するときの輸出(販売)価格のことを指します。親会社と子会社の取引なので、基本的には自由な価格で取引できそうです。そこであなたは日本より法人税率の安いシンガポールにできるだけ多くの利益を残したいと考えるかもしれません。しかし、移転価格には規制があります。三国間取引をはじめる前にその規制をしっかり理解してきましょう

三国間貿易を始める前に確認すべき移転価格税制

例えば、あなたの会社が数年にわたり中東のドバイの取引先へ継続的に商品を販売しているとします。そこで、あるときシンガポールへ子会社を設立しました。シンガポールの魅力は何といっても日本に比べて法人税が安いことです。さらに公用語が英語ですので、日本に比べグローバル人材の確保がしやすいというメリットがあります。この子会社にセールスや取引先へのフォローを任せてしまえば、国内の本社は技術開発に専念することができるようになります。
さらに、将来東南アジアに生産拠点を設けて、そこからシンガポールの子会社を経由してドバイへ輸出するということも可能になります。

このように三国間貿易をうまく活用して子会社にセールスを任せることで、多くのメリットを享受できるようになるわけです。

しかし、ここで注意しなければならないのが移転価格税制です。
なぜならこの規制をしっかり守らないと二重課税されてしまうことになるからです。

では、どのような場合に二重課税になってしまうのでしょうか?
具体的には次のようなケースです。

あなたの企業のグループ内では、移転価格を100と設定して取引していたとしましょう。つまり、日本からシンガポールの子会社への販売価格が100ということになります。
しかし、仮にグループとは関係のない第三者であるドバイの「A社」に対しては同じ商品を今まで150で販売していたとします。
日本の税務当局は「あなたの会社はは移転価格を100にすることにより、50の利益をシンガポールの子会社へ移転していた」と判断します。
そこで、当局は子会社への販売価格は第三者(ドバイの取引先)への販売価格と同じ150であったとみなし、課税します。(これを「更正」と言います。)

つまり、実際はシンガポールの子会社へ100で販売していますが、当局は150で販売したとみなして課税されるのです。
さらにシンガポールの税務当局は100で日本から仕入れて150でドバイに販売した分の課税をします。このようにして二重課税が発生します。

このような事態を避けるためには移転価格規制についてよく理解し、二重課税されるようなことが起きないようにしておかなえればいけません。

移転価格税制(Transfer pricing Taxation)とは?

移転価格税制は、グループ企業ではない第三者との取引価格(「独立企業間価格」と言います)と移転価格が異なる場合、独立企業間価格で取引したと見なして課税する制度です。
日本はこの制度を1986年に導入しています。

わかりやすく言えば、海外に子会社を設立し、そこを経由して販売することによって、本来日本で得ていた利益を子会社へ回してしまうことを防ぐための法律です。

各国の規制はどんどん複雑化しています。
海外に子会社をつくり3国間貿易をするのであれば、まず移転価格を検討しましょう。そのときには必ず信頼できる税理士に相談するようにしましょう。そして、二重課税がおきないよう、しっかりと準備をすることです。

執筆者プロフィール

kaigaimarketing

中小企業の海外販路開拓の専門家。『日本の技術を支える中小企業に海外で活躍してほしい』を理念に海外に進出したい中小企業のサポートに力を入れている。これまでに東南アジア、ヨーロッパ、中東など47ヶ国で販路開拓の実績がある。全く海外販売実績のない企業も対象とし、状況や要望に合わせた施策を提案できる。企画から、販売店探し・交渉・販売店立ち上げ、そして、海外事業部を設立するまでをトータルにサポートしている。

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