はじめての海外視察でおさえるべき3つのポイント

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海外販路の開拓

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これから海外進出を目指す経営者が、はじめにやってみるべきなのが、海外視察です。海外進出セミナーは様々なところで行われていますが、セミナーでの話は様々な立場の人に対して話すため業界を広く取り扱います。ですから話を聞いても自分のビジネスに深く関わるところまで情報を得ることがなかなかできません。ですから、自分で現地へ足を運んでみなければわからないことがたくさんあります。

視察ツアーで気をつけるべきこと

海外視察でやってはならないのが、視察ツアーに受け身なマインドで参加してしまうことです。なぜなら、視察ツアーに参加する人たちも様々ですので、企画する側は、全員に対して共通する情報を提供しようとします。その情報だけを聞いていても必要な情報を十分にえらえることはできません。まず、自分から情報を取りにいくという姿勢が必要です。自分から情報を取りに行くためには、どんな情報を求めるのか、基準を持つことがことです。今回は、販路をつくるためには、どんな基準を持つべきなのか、基本的なことについてお伝えします。

基準1 お客さんはその商品・サービスにお金を払っているのか?

当たり前のことですが、BtoBではこの視点が欠けている人が多いです。国内では一般化している商品やサービスであっても現地で使われてないこともあります。また、お客さんが本当は取り組まなければならないのは分かっていても、今それにお金を払うという行為をするつもりがない、という事もあります。例えば、日本では、定期点検が義務化されているものがたくさんあります。一方、途上国では規制ができておらず、定期点検が必要と理解していてもそれにお金を払いたくない、という事もあります。もちろんこのような規制はいずれ作られていきます。しかし、それがいつになるのかは、分かりません。私たち中小企業にとって、いつ規制ができるかわからないのに、待っていられるだけの余裕はありません。他にもあります。例えば、日本のお客さんは比較的、長期的な利益を考慮して意思決定することができます。一方、途上国のお客さんは、短期的な利益を重視する傾向があります。ですから、投資のリターンを得られるのが、5年後、と伝えても日本のお客さんとは反応が違う、というとがあります。実際、ベトナム同じような提案をしたところ、2年で回収できないか?と、言われたことがあります。お客さんの価値観を変えるのは簡単な事ではありません。それなりに信頼を構築し、時間をかけて伝え続けなければ相手の価値観は変わっていきません。このような理由から、私は、その商品・サービスに対して、お客さんが実際にお金を払っているか?という、基準を持って視察をしていただきたいと考えています。

基準2 競合に対して自社の商品・サービスを独自化できる要素はないか?

よく価格のリサーチから始める人がいますが、日本企業が価格競争で勝つというのは現実的ではありません。中国、韓国やローカル企業と価格で勝負をしても、利益を出すことは非常に困難です。例えば、製造業の分野ですと、中国企業は生産能力が高いです。7,8年前に中国へ不織布の工場を視察に行きました。この工場では、ドイツの最新型の設備が導入され、大量生産をしていました。一方、日本の不織布の工場は規模が小さく、どんなに頑張っても価格ではかないません。そこで、少量多品種化し、より複雑な商品に特化していくしかありません。他にもあります。以前、ベトナムの浄水器のマーケットを調査したことがあります。結論から言うと、BtoBの浄水器は日本の商品では、価格面では全く勝負になりません。浄水器に高い品質が求めていないので、BtoCで勝負する。という判断をしました。BtoCの場合、富裕層はより良いものを購入するという傾向があるからです。

このようにBtoBにおいて、価格では勝負できません。ですからライバルの価格をリサーチする前に、自社の商品サービスを、そのマーケットで独自化するにはどうしたら良いか、考えることが必要なのです。

独自化とは?

よく差別化ということが言われますが、他社との違いだけはそのアイデアをコピーされてしまえば、また次の差別化をしなければいけません。独自化というのは、他の商品やサービスを付け加えるなどして、ひとつの提案で複数の課題解決をしてしまうことです。例えば、自社で製造している部材だけではお客さんの課題を解決できなかったとします。そこで、その課題解決を一緒にできるパートナーを探します。つまり、競合他社が部材だけを提案していたら、あなたは、課題解決の方法を提案するのです。このようにすれば、独自化できるようになり、激しい価格競争から一歩抜け出ることになります。

他にも独自化の方法はあります。市場で高いシェアを占めている大手企業が満たせていないニーズや課題を探すことです。シェアを大きくしようとすると、ターゲットとするお客さんが多様化し、どうしても共通するニーズを満たす必要が出てきます。そうなると、必ず「切り捨てられるニーズ」が出てきます。その切り捨てられた部分は、大手企業にとっては小さなものかもしれません。しかし、私たち中小企業にとっては十分な規模だということはよくあります。大手は、手間がかかり、規模が小さなニーズや課題には手を付けません。しかも彼らはマーケットに資本を投入し、市場を拡大してくれます。私たちは、彼らがつくったマーケットの満たされない部分だけを狙っていけば良いわけです。

日本と現地で求められるニーズの違いを理解する

長年、同じビジネスにどっぷり浸かっているいると、自分の思考がいつの間にか業界の常識に囚われてしまいます。日本のマーケットの常識は海外へ行ったら非常識になることもあります。視野を広げるためにも、現地のお客さんは、日本のお客さんとどんな違いがあるのか?それを理解する姿勢が重要です。これは、技術系の方に多いのですが、今お客さんが求めているものよりも進んだ知識を持っているため、お客さんが期待している以上の提案をすることがあります。お客さんのためを思って最善の提案をするのは良いことですが、相手のニーズに合わせることも必要な場合があります。特に予算が決められた範囲の中で購入を考えている相手であれば、最善の提案はこの内容ですが、御社の予算に合わせるとこちらの提案が最善です。このようなスマートな提案をすべきです。技術系が強い会社で、トップがこれを理解していないと、いつの間にか、営業が技術チームの言いなりになった提案をしてしまうことがあります。私は、これを技術者の暴走だと思っています。主役は、マーケットです。マーケットが求めているもの、あるいは、それを少し上回り、かつ導入できる範囲の金額に納めるべきです。

基準3 そのマーケットは将来どう変化していくのか?

海外のビジネスへの参入は長期的な視点が求められます。中小企業が海外事業を軌道に乗せるには少なくとも3年はかかります。ですから、自分たちが進出するマーケットがどう変化していくのかを予測することが大切です。マーケットの将来を予測するときに、私たち日本人が欠けている視点があります。それは、大陸経済の考え方です。日本は島国であるため、隣国との関わり方が大陸国家とは違います。例えば、当社では今年から、ヨーロッパのエストニアの企業の日本市場参入をサポートしています。エストニアはバルト三国の小さな国です。この企業は、創業時からヨーロッパ全体をマーケットにすることが前提となっています。ヨーロッパは陸続きになっており、さらにEUの協定によって、EU圏内を自由に行き来できます。また、夏休みの旅行は外国へ行くことが、ごく普通です。ですから子供の頃から隣の国との関係を日常的に考える習慣があります。例えば、ベトナムマーケットの将来を予想するのであれば、タイ、ミャンマー、カンボジアなどの関係を理解することがとても重要になってきます。なぜなら、これらの地域は、陸続きになっており、日本からの多額のODAによって、この地域の東西の物流網が整いつつあるからです。さらに、南北については中国が積極的に投資をしています。

今回、視察に来たこの国はどうやって発展していくんだろう?そして自分たちの業界はどう変化していくんだろうか?その国と周辺国の地図を眺めながらイメージをしてくると、様々なことが見えてきます。これこそ、現地に行ってみないと出てこない発想なのです。

今回、解説しました方法は、とても基本的なリサーチです。もちろんこれがすべてというわけではりません。しかし、この基本の部分は、経営者としておさえておいてほしい考え方なのです。巷には様々な情報があります。マーケットリサーチについて解説した本もたくさんあります。しかし、問題は、それらを熟読しても、彼と同じようなリサーチをすることは簡単ではありません。できないことをやろうとするよりも、この3つのポイントをしっかりおさえていくようにしてみてください。中小企業は走りながら考え、いつでも方向転換できる柔軟な考え方が必要です。ぜひ実践してみてください。

執筆者プロフィール

kaigaimarketing

中小企業の海外販路開拓の専門家。『日本の技術を支える中小企業に海外で活躍してほしい』を理念に海外に進出したい中小企業のサポートに力を入れている。これまでに東南アジア、ヨーロッパ、中東など47ヶ国で販路開拓の実績がある。全く海外販売実績のない企業も対象とし、状況や要望に合わせた施策を提案できる。企画から、販売店探し・交渉・販売店立ち上げ、そして、海外事業部を設立するまでをトータルにサポートしている。

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