東南アジアに進出する中小企業が陥ってしまいがちな失敗と対策

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東南アジアの国々と取引する際、海外取引に慣れていない中小企業がやってしまいがちな間違いがあります。それは、日本の商社と取引をしてきた感覚で海外の販売店と取引をしてしまうことです。今回は、なぜ取引がスムーズにいかないのか、その原因と対策について解説します。

取引がスムーズにいかない3 つの原因

うまくいかない主な原因はこの3つに集約されます。1 つはめ、コミュニケーションです。当然ですが、国内と海外ではコミュニケーションの質と量が違います。例えば、シンガポールを除く東南アジアの多くは、英語が公用語ではありません。私たちと同じ第2 言語です。結果的にコミュニケーションの質が落ちてしまいます。

2 つめの原因は、現地担当者のスキルの問題です。東南アジアには若い経営者が多数います。彼らは社会人になって数年で独立・起業して、あっという間に会社を大きくします。そして、彼ら以上に若いのが従業員です。大学卒業後、2、3 年で会社の主戦力となり、20 代後半になればマネジャーとなりチームを率います。

若さは魅力ですが、それはあなたの商品を売ってくれる営業や、メンテナンスサポートをする技術スタッフも若いということです。日本国内の商社であれば、40 ~50 代の社員が大勢います。キャリア20 年以上のベテランと、社会に出て数年しか経っていない途上国のマネジャーを比べれば、経験の差は明らかです。つまり、国内と同レベルの対応は期待できないということです。

3 つめの原因は、なかなか集中してくれないということです。発展したシンガポールは別として、他の東南アジア諸国では成長スピードが早く、それは進出企業にはとても魅力的です。しかし、その分いろいろな案件が日々、動いており、そうなると自分たちの商品にかける時間も少なくなります。特に、成約までに時間のかかるビジネスほど、集中してくれないということが起きます。

解決策1 情報提供を増やせ!

コミュニケーションの質を解決する方法として取り組むべきなのが、情報提供です。実はこれが苦手な企業がとても多いです。例えば、アメリカの企業であれば、英
語で情報発信ができます。今では、世界中のビジネスパーソンは英語を使っています。ヨーロッパでは誰でも英語を話せると言っていいくらいです。東南アジアでも、国によって差はありますが、英語がかなり通じるようになってきています。会話が上手でなくても、メールなら十分なコミュニケーションがとれます。一方、日本ではいまだに英語が話せる人が重宝されている状況です。しかし、これを言い訳にしていては海外で勝てません。

では、どんな情報提供の仕方が良いのでしょうか?私が強くおすすめする方法が、動画の活用です。販売店のセールストレーニング、デモンストレーションのやり方、競合との比較など、何度も伝える必要がある情報は、すべて動画で撮影します。言語は英語が良いでしょう。例えば、販売店から競合との比較について質問がきたら、
回答を動画で撮影します。そしてメールで動画を配信します。そうすれば、もう1 度、同じ質問が来た時にはその動画を使うことができます。そして、足りないことは、メールや電話で補足説明をすれば十分です。

このように、同じ質問に対して、説明を繰り返さないようにしておけば、英語が苦手なためにかかる時間を節約できます。また、動画は繰り返し見てもらえるので、理解度が深まりますし、的はずれな質問も減ります。

10 年ほど前、私がある中小メーカーに勤務していた頃、フランス人スタッフが販売店向けのデモンストレーションや、商品の使い方についての動画を作ってくれました。撮影はたった1 日でできました。その動画によって、販売店の理解度が高まったことは言うまでもありません。

途上国の従業員はよく転職します。そうすると、担当者が変ってしまい、トレーニングのやり直しになります。そういった場合にも動画を繰り返し見てもらうことで、かなり労力を削減することができます。

動画の撮影はスマホで十分

撮影機材ですが、私がおすすめしている方法はスマホで撮影することです。今のスマホのカメラは高性能です。スマホ用のスタンド、マイクなどのアクセサリーは3,000 円くらいで揃えられますので非常に手軽です。また、動画については、あまり細かいことは気にせず、できるだけ編集作業が発生しないように。編集作業はかなり時間がとられます。もし、英語があまり上手でないと思うのであれば、台本を読みながらでも良いのでやってみましょう。見た目の格好良さよりも、相手にちゃんと伝わることが重要です。撮影した動画は、YouTube などにアップし、URL を知っている人だけが見られるよう限定公開にしましょう。これは無料で設定できます。動画は難しくありませんので、ぜひチャレンジしてみてください。

※動画の使い方についてはこちらをごらんください
⇒ 中小企業のための動画活用術

解決策2 販売店、代理店の役割を定義しましょう

ここでお伝えしたいのは、代理店と販売店の違いという契約のお話ではなく、どういう役割として自分たちのビジネスに関わってほしいのか?ということです。よく東南アジアの販売店が期待した通りの仕事をしてくれないという話を聞きます。実際、私がベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンなどで取引をしてきた販売店も同じです。メーカー側がかなりサポートをしないと上手くいきません。その理由は、前述したとおり、若く経験の浅いスタッフが多いことと、できるスタッフに仕事が集中してしまうことです。あるタイの会社は、20 名くらい社員がいましたが、社長がトップセールスをして、全員で社長のアシスタントしているような会社でした。ハノイの知人の会社も同じような状態です。彼のところはキッチンシステムを販売していますが、大きな案件はすべて社長がまとめています。そして、受注後の作業を社員が行います。私たち、中小企業と積極的に取引をしてくれる販売店は、この規模と能力の会社であることが多いです。

このような販売店と取引する場合、販売店の役割は、見込み客を見つけてきてくれて、同行営業してくれる。そして、お客さんとの最終価格の交渉(私たちができない途上国ならではの交渉のこと)、商品を輸入し、客先へデリバリーしてくれる。この程度しかできないと判断し、役割を考えるべきです。工業系の製品でありがちなのが、納品を販売店に任せたことによって起きる問題です。あるフランス系企業から聞いた話ですが、インドへ装置を販売し、販売店に納品を任せたそうです。受け入れ検査もすんなり合格し、売掛金も回収しました。ところが、装置が稼働していなかったのです。原因を調べたところ、販売店とエンドユーザーの購買部門、現場の責任者が癒着していることが分かったそうです。仕様書どおりのスペックがでていないため、通常ではNG になるはずのものが、癒着していたために、合格させてしまっていたのです。結局、このフランス企業は現地へ行き、装置を調整するためにエンジニアを派遣しました。後で分かったことですが、装置には何の問題もありませんでした。つまり、販売店の技術スタッフのスキル不足で、装置を正しく調整できていなかったのです。それ以来、この会社は、試運転調整については、自社のエンジニアを派遣するようにしたそうです。もちろん、販売店への見積もりにもそのコストを入れることにしたそうです。

現地の事情に合わせて取引方法を変えていく

途上国との取引をはじめると、日本では経験したことのないような様々な課題に直面します。その都度、販売にどこまで任せるのか見直しをして、トラブルにならないようにしましょう。特に、難易度の高い高価な製品ほど、試運転調整には自社のエンジニアを派遣し、現地の販売店スタッフにはアシスタントをしてもらいながらトレーニングを行うつもりで作業すると良いでしょう。

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