輸出ビジネスで失敗しないための貿易実務-いよいよ売買契約締結編

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代金決済方法も理解できたところで、いよいよ海外取引のハイライト「売買契約書の締結」についてお話したいと思います。
商談が成立したら、最後は契約書の締結です。単発の取引であれば、さほど細かい条項を設けた契約書は必要ありませんが、どうせなら末永く取引を継続できるパートナーを見つけたいものです。良いパートナーシップを築くには、お互いの役割分担や義務、責任の範囲等、細かい取決めを明確に事前に協議することが必要です。

ちなみに、裁判の国アメリカの企業やグローバル企業との売買契約書は何十ページにも及ぶことも珍しくありません。
そこまでではないにしろ、後々のトラブルを回避するため、契約時に最低限取決めておくべき項目をリストアップしてみました。

【契約時に取決めること】

・契約の当事者(売り手、買い手、仲介業者等)の名称及び所在地

・契約期間

・取引する商品内容や使用通貨、価格

・貿易取引条件
保険料の負担や、貨物のリスクがどの時点で移転するか明記する(「最新のインコタームズ」、または「インコタームズ○○」の規定に基づくとなる場合が多い)

・最低発注数量や金額(オーダー毎/年間など)

・品質や仕様
最初のサンプルと品質や仕様が異なるなど、結構クレームやトラブルの原因となるため、仕様書を契約書に添付することをお勧めします。

・輸送手段

・納期

・支払条件

・製品の品質保証や瑕疵があった場合の対処方法

・守秘義務

・不可抗力
天災やストライキ等、自身ではコントロールできないことが原因で発生する納期の遅延や引渡し不能に対する免責条項。日本ではストライキは滅多にありませんが、地震や台風等の天災はやはり有りますので、契約書の条項に入れることをお勧めします。

・知的財産権の保護に関する取決め

・契約不履行時の措置

・契約解除
取引先が破産申請した、債務不履行となった、犯罪に関わった等、契約を解除する場合を明記。また、契約解除した後でも、当然支払い義務や守秘義務等は存続することを盛り込むことをお勧めします。

・紛争が発生した場合の仲裁方法
当事者間で紛争が起こった場合、仲裁または訴訟にて解決します。一般的に、自国での仲裁(日本の場合は、日本商事仲裁協会)や、準拠法を日本法とし管轄裁判所を日本とした方が私達には有利となります。仲裁や訴訟の費用や労力を考えると、実際には滅多に起きないことですが、有事に備える必要があります。ここはとても大事なポイントなので相手も必ず自国での仲裁や訴訟を主張して、譲らない場合が多いです。どうしても埒が明かない場合は、両当事者の中間位に位置する第三国を選ぶという方法もあります。

恐らく、かなり大変そう…と感じられたかと思います。実際、不慣れな契約書の作成はとても大変ですし、素人では見落としがちな決め事も多々あるので、必ず弁護士に相談しましょう。事前に契約書で詳細を取決めることにより、後々起こりうるトラブルも回避もしくは早期解決をすることができます。
契約書の雛型(マスター)を一度作ってしまうと、あとは取引先に応じて所定の箇所を修正するだけで、繰り返し利用することができます。海外取引の成功のためにも、大変ですが契約書は弁護士や専門家に相談しながらしっかりと作り込みましょう。

【トラブル発生! こんな時どうする?】

契約書を締結して、実際に貨物が動き始めると思わぬところからトラブル発生。海外取引では相手国と離れているため、上手く対応しないと余分な時間とコストが掛かってしまいます。また、早く対応しないと問題がどんどん大きくなってしまいます。ここでは、実際に起こりうるトラブルと早期解決に向けた対応例を紹介します。

① 製品不良に対するクレーム

高い技術力と品質を誇る日本のメーカーにとって、不良品の割合は非常に低いとは思いますが、ゼロではないのも事実です。扱う製品にもよりますが、製品に瑕疵があった場合の対応として、

・ 小さな製品であれば、あらかじめ不良交換用パーツとしてオーダー数量に対して何パーセントかの製品を無償で提供する。不具合が発生した場合は、現地で不良交換用パーツから修理や交換に充ててもらう。

・ 大きな製品であれば、メンテナンス用パーツリストで常時保有すべきパーツを予め指定し、輸入者にパーツ在庫を持ってもらう。不具合等の対応で使用したパーツは、後で無償提供するか返金する。

いずれの場合も、輸入者が現地でメンテナンス用パーツや交換用パーツ(本体)を保有しているので、即座に対応が可能です。海外取引では、コスト削減のためにも極力モノが行き来する頻度を減らすのがカギです。

② 製品から発火した、または製品で事故が発生した

事故と聞くとドキッとしますが、ここは冷静に判断を。まずは、取引先から事故の状況をヒヤリングし情報収集すると共に、すぐに技術者または製品に精通した専門家を現地に派遣します(もちろん事故の程度によりますが…)。実は、この即座の行動が取引先に安心感を与えるのです。起こってしまった事故に対し、技術者が現地できちんと製品を調査・分析し、早急に原因究明に取り組む姿勢が信頼回復のカギとなります。

③ 荷崩れ

国際輸送において結構多いのが荷崩れです。工場出荷時にはキレイに梱包されていた、またはパレット積みされていた貨物が、輸入者の倉庫に着いた頃には荷がグチャグチャに崩れ、商品が破損していたというケース。当然、長期の輸送に耐えうる梱包をするのは輸出者の責任ですが、実際に国際輸送では、工場出荷⇒保税倉庫⇒コンテナ詰め⇒保税輸送⇒船積み⇒(仕向地到着後)⇒保税輸送⇒コンテナ降ろし⇒保税倉庫⇒指定倉庫と、工場を出発してから輸入者の倉庫に到着するまでに、実に沢山の人が移送やフォーク作業に関わっているので、どの時点で荷崩れが起こったのか追跡することは非常に困難です。そのために、海上保険に加入するのですが、まずは工場出荷時は無傷であったことを証明するためにも、必ず貨物出荷前に梱包の様子やパレット積みした貨物の写真を撮っておきましょう。また、水濡れもよく発生するトラブルです。貨物はラッピング(サランラップの巨大版のようなものでぐるぐる巻きにするのです)することで、ある程度水濡れから保護することができる上、荷崩れ防止にもなります。

次回は輸出手続き&フォワーダーの選び方について解説します。

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