海外販売店(Distributor)向けの価格表のつくり方

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中小企業が効率的に海外での販路を拡大し、商品のマーケティング活動や販売活動を行うために必ず必要となってくるのが現地での販売パートナーの存在です。日本では、販売パートナーである「販売店」と「代理店」とを混同して使うケースが多く、「販売代理店」という言葉も多用されていますが、実は海外取引においては「販売店(Distributor)」と「代理店(Agent)」との間には大きな違いがあります。営業活動を開始するにあたり売買契約を締結する際に、現地の販売パートナーが販売店(Distributor)なのか、代理店(Agent)なのかによって提示する条件や価格表に記載する内容も異なりますので、まずは販売店と代理店の違いを理解しましょう。

販売店(Distributor)と代理店(Agent)の違いとは?

【販売店:Distributor(ディストリビューター)】

販売店は、メーカー(売り主)から商品を仕入れ、自ら在庫を抱え、自らの責任(損益やリスク負担)で商品を第三者に販売します。販売店は、仕入れによる在庫リスクを負う一方で、販売価格を自由に設定して販売できます。メーカーと販売店との商品取引は、「売り切り、買い切り」の取引であるため、販売によって生じた損益(仕入れと販売価格の差額)は、そのまま代理店に帰属します。つまり、販売店は販売価格を自由に設定し、自らの利益を決めることができる代わりに、第三者に販売した商品の代金回収リスクや在庫リスク等を負うことになります。

【代理店:Agent(エージェント)】

代理店は、メーカー(売り主)の代理として、営業活動(主に販売)を行います。代理店は、在庫を抱えるリスクがない一方で、販売価格はメーカー(売り主)側の指示に従います。イメージとしては、業務委託や営業代行、仲介となりますので、営業活動から生じる全ての損益やリスクは売り主に帰属します。つまり、代理店は販売した商品の代金回収リスクや在庫リスクを負わない代わりに、販売実績に応じて販売手数料(コミッション)という形で利益を得ることになります。

ここでは、販売店(Distributor)向けの価格表を中心に説明をしていきます。価格表に記載しておくべきポイントが幾つかあるので、1つ1つ見てみましょう。

販売店(Distributor)向けの価格表でおさえたい11のポイント

それでは価格表のつくり方を解説いたします。
こちらから価格表のサンプルをダウンロードできます。
↓↓↓
価格表のサンプル

① 会社のロゴ&会社情報
海外取引で使用する全ての書類には必ず自社のロゴが入ったレターヘッドを使用しましょう。会社のロゴ付近に会社情報(社名、住所、連絡先等)が記載されているのが一般的です。

② 日付
必ず価格表の作成日または更新日を入れて、記録として残しておきます。サンプルでは、Last Updated Date(最終更新日)を記載しています。

③ Item No.:品番
買い主より引合いがあった商品と相違ないよう、必ず品番を記載しましょう。
商品詳細よりも品番で管理する方が確実です。

④ Description:商品詳細
商品名称を含め、可能な限り細かく内容を記載します。

⑤ Unit Price: 単価(& 貿易取引条件)
価格表には必ず通貨を明記します。
また、販売店に提示した価格が工場での引渡し価格なのか、輸入者が指定する港までの輸送費を含んでいるのか、もしくは輸送費や保険料を含んでいるのか、どの時点でリスクが輸出者⇒輸入者に移転するのか等を明確にするため、必ず貿易取引条件を併せて記載します。
ここで記載する価格は、販売店への輸出価格(及び貿易取引条件)です。現地での販売価格は販売店が設定するため、価格表にはMSRP(=Manufacturer’s Suggested Retail Price:メーカー小売希望価格)は記載しません。

⑥ Q’ty & GW/ master carton:マスターカートンの入り数/総重量
商品1つ1つを包んでいる箱を個装箱(Package)と言い、個装箱を輸送の単位としてまとめて入れるものを外装箱(Mater Carton)と言います。つまり、マスターカートンとは貨物輸送の際に使用する段ボール箱(外装箱)のことで、入り数とはマスターカートンに入っている個装箱の個数のことです。商品の最小発注単位を入り数で指定しておくと、商品発送時に梱包の手間が省ける上、輸送効率が上がります。また、マスターカートンのGross Weight(総重量)も併せて記載しておきましょう。

⑦ Remarks:備考
Description(商品詳細)で説明しきれない内容を備考欄に記載します。

ここからは、トラブルを事前に回避するために追記しておいた方が良い但し書きです。
⑧ All prices are quoted on 〇〇〇 <場所(または港名)>
〇〇〇には、貿易取引条件(Ex-works, FOB, CFR, CIF等)を入れます。くどいようですが、貿易取引条件はとても重要なポイントですので、「全ての価格は〇〇〇 <場所(または港名)>とする。」と念押しします。

⑨ Minimum order q’ty Required:
最低発注数量を設定します。国内取引とは異なり、海外輸出には通関書類の作成や銀行手数料、輸出用梱包等、色々な諸費用が発生しますので、必ず最低発注数量、または最低発注金額を設定しましょう。最低発注数量または金額を設定しておけば、万一買い手の要望する発注数量や発注金額が条件に満たない場合でも、別途オーダーハンドリングチャージ(Order Handling Charge)を請求する等して対応することも可能となります。

⑩ Price and availability subject to change without notice
「価格や商品の取扱いは予告なく変更する場合があります」の但し書きです。
日本の国内取引では中小のメーカーが頻繁に価格を改定することは難しく、むしろ長引くデフレの影響で値上げなんてとんでもない!という風潮ですが、世界のマーケットに目を向けると、世界の大半の国ではインフレに向かっており、年々価格が上昇するのは当たり前のことなのです。実際、海外メーカーは人件費の高騰、部材(原料)コストの高騰、為替差損を理由にほぼ毎年3%~10%程度の値上げを行います。この価格の改定は1年に一度の場合もありますが、多い時には年に何度か改定される場合もあります。
実際の商取引においては、きちんと事前に予告してから価格改定を行うのが一般的ですが、いつのタイミングでも価格改定(値上げ)に踏み切れるように、この一文は必ず記載しておきましょう。また、商品の取扱いに関しても然りです。在庫がなくなり次第生産中止とする場合にも、この一文があることである程度トラブルを回避することができます。

⑪ Duties and taxes not included
「関税・消費税等は含まれておりません」の意味です。日本から商品を輸出する際には関税・消費税は課されませんが、買い主が商品を自国に輸入する際には自国の関税・消費税及び諸税が課されます。念のため一文を追記して、価格には税金が含まれていないことを明確にしておきましょう。

価格表は重要な営業ツール

価格表も重要な営業ツールとなりますので、販売店に渡す価格表には見積依頼を受けた商品だけではなく、必ず自社の取扱商品の全ラインナップを載せ、現地の販売店がスムーズに営業活動を行えるよう可能な限り詳細を記載します。また、価格表は年々改定する可能性があることを念頭に置き、「Distributor Price List 2017」として2017年度の価格表であることを強調するのも1つの手です。これにより、2018年度には新たな価格表に変わると相手に意識させることができます。
また、冒頭で説明しましたが、代理店に対してはメーカー(売り主)が販売価格を設定するので、代理店向けの価格表にはUnit Priceの横にMSRP(=Manufacturer’s Suggested Retail Price:メーカー小売希望価格)を追加します。

最後に

価格表の作り方1つで、今後の取引をスムーズに進めることができます。起こりうる色々なトラブルを想定し、事前に回避できるようしっかり作り込みましょう。
中小企業の皆様が、近い将来、海外の販売パートナーの協力を得て海外市場に進出されることを心より願っております。

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