
以前、あるクライアントに海外の販売店向けの資料についてアドバイスをしたときの話です。この会社はこれから海外へ販路を開拓していこうとしているところです。ですから、海外の販売店向けに英文の資料作成は初めてです。
クライアントから資料を作成したら一度内容を確認してほしいと言われていました。
しかし、なかなか資料が送られてきません。データを整理するだけの簡単な資料ですが、既に1週間経過しています。さらに販売店から資料のリクエストがあってから既に10日以上経過しています。
そこで、クライアントに連絡してみました。
すると…
「会議を開いて社長の意見を聞いてから作成をしたいのですが、社長が忙しくてなかなか時間がとれないんです」
つまり10日間何も進んでいなかったことになります。
信じられないようなことですが、はじめて海外にチャレンジする社長にありがちな失敗なのです。では、その理由について説明します。
はじめての海外チャレンジではわからないことがたくさん出てきます。そうすると社長は心配になります。次第に普段は社員の判断に任せているような小さな事まで気になり始めます。そして、すべて自分が判断し、社員に細かいところまで指示を出したくなってしまいます。
その結果、社員は自分で考えずにすべて社長に判断を仰ぐようになります。
社長が忙しくなると今回のようにどんどん遅れが生じてしますのです。
つまり、原因は社長がつくっているのです。
そして、このような遅れによってビジネスチャンスを逃してしまうのです。
このようにならないために、社長は方針を決めたら社員にどんどん任せるべきです。
はじめは失敗にイライラすることもあると思います。
そこを我慢してビジネスのスピード感を下げないようにすることです。
よく海外の経営者に日本企業の欠点について聞くと必ずこう言います。
「日本の企業はレスポンスが遅い」
あまり簡単なことで時間をかけていると、相手はイライラしてきます。
そして彼らの関心は薄れていき、他のサプライヤーと話を進めてしまうこともあります。
海外展開で成功したいならスピードを上げろ!
ビジネスの規模が小さいうちはリスクも小さいです。社長は社員に仕事を任せて、どんどん先に進めていきましょう。そして、できれば専門のコンサルタントを使いましょう。そうすれば社長の心配が減り、スピード感がアップします。このクライアントも今ではスピード感ある対応ができるようになっています。
海外展開で成功したいのであれば、スピード感を意識しましょう。