インコタームズの種類とは?輸出ビジネスで失敗しないための実務-実践編

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海外取引を始めるに辺り、まずインコタームズをしっかりと理解しましょう。国により貿易取引条件の解釈が異なることで発生するトラブルを回避するために制定された、世界共通の貿易取引条件とその解釈に関する国際規則インコタームズです。売主と買主間の物品の引渡しに関するリスク移転の分岐点、役割や費用(輸送の手配と運賃の支払い、保険の手配と保険料の支払い等)の負担区分など、それぞれの条件の下で売主と買主が負うべき義務がまとめられています。

【インコタームズ(貿易取引条件)を理解する】

2017年現在、最新の「インコタームズ2010」では、11の貿易取引条件(規則)に分類されていますが、実際の貿易で最もよく使われる取引条件は以下の4つです。

・EXW (Ex-Works)

工場渡し条件。工場で買主に貨物を渡したら、そこから先の全ての費用及びリスクは買主の負担となる。

・FOB(Free on Board)

本船渡し条件。輸出港で買主が手配した本船の船上に貨物が置かれた(on board)時点でリスクが売主⇒買主に移転する。また、本船上に貨物が置かれるまでの費用を売主が負担する。つまり、保税倉庫への国内輸送費、輸出通関費用、船積費用等までは売主の手配&負担となり、そこから先の海上輸送費や海上保険等は買主の手配&負担となる。

・CFR (Cost & Freight)

運賃込み条件。リスク移転の時点はFOBと同じだが、売主が負担すべき費用&手配がFOB+仕向地(輸入港)までの海上輸送費となる。

・CIF (Cost, Insurance & Freight)

運賃保険料込み条件。リスク移転の時点はFOBと同じだが、売主が負担すべき費用&手配がCFR+仕向地(輸入港)までの貨物保険料となる。

つまり、同じ見積価格¥1,000円であったとしても、その¥1,000が工場での引渡し価格なのか、輸入者が指定する港までの輸送費を含んでいるのか、もしくは輸送費や保険料を含んでいるのか等、¥1,000円の意味が異なります。この違いを明確にしたものがインコタームズです。
既にお気付きだと思いますが、輸出者にとって最もリスクが少なく、一番手離れが良いのはEx-Works(工場渡し条件)です。工場で貨物を引渡してからの全てのリスクやコストは輸入者側に移転する上、輸送の手配をする必要がないため輸出ビジネス初心者は基本的にEx-Worksでの取引を前提に輸入者との交渉を進めることをお勧めします。但し、輸入者にとっても不慣れな日本での船積みまでの国内輸送や輸出通関を手配するのはなかなか困難なもの。実際の貿易実務では、取引条件がEx-Worksであっても輸入者の依頼により輸出者が代行して日本国内の輸送・通関を手配することが多々あります(但し、費用は輸入者負担です)ので、可能な限り協力をすることは大切です。

【輸出価格をどう設定する?】

インコタームズが理解できたところで、輸出価格をどうやって設定すべきか…まずは、輸出価格に加味すべきコストについて考えてみましょう。

・商品梱包費

国内取引とは異なり、貿易では工場を出発して輸入者の手元に届くまで、長い輸送期間を要します。商品の梱包は長期の輸送に耐えうるものでしょうか? 長期間の輸送中に商品が劣化したり、荷崩れや箱潰れが発生したり…なんて、よくある話です。再度、梱包の強度を見直してみて下さい。
また、ある程度物量があり木製のパレット積みや木枠梱包をする場合は、必ずIPPCマーキングが押印された木材を使用しましょう。ISPM No.15(植物検疫措置に関する国際基準)において、防疫上適切な熱処理または燻蒸処理を施した梱包用木材を使用することが定められていますので、輸出用木材・梱包材生産者より見積を取ることをお勧めします。
たとえ取引条件がEx-Worksであっても、ここまでの費用は売主側の負担です。

・工場から保税倉庫までの国内輸送費

コンテナ積みであれば、コンテナ輸送費

・輸出通関に掛かる費用

輸出申告、税関検査料、取扱料など輸出金額に関わらず、取扱い件数1件につき発生する費用があります。ちなみに、原則、輸出貨物に対して関税・消費税は発生しません。

・港湾・荷役費用(FOBの場合)

保税倉庫から本船まで貨物の移動費、積込作業費用、ハンドリングチャージ等

・輸送費(CRFの場合)

海上運賃(または航空運賃)、燃料サーチャージ(BAF)、通貨変動調整費(CAF)、繁忙期の割増料金等

・貨物保険料(CIFの場合)
・代金支払いにかかる銀行手数料
・外国為替の売買による手数料
・為替変動リスク

上記の通り、貿易取引条件によって輸出価格に諸費用を上乗せしていきます。ここで気を付けたいのが、輸送費は物量により変動し(コンテナ輸送の場合はコンテナ1本単位の輸送費)、通関や税関検査などは取扱件数ごとで費用は固定など、費用の項目によっては物量により変動するものと固定のものがありますので、FOBやCRF、CIFで輸出価格を設定する場合は、採算が取れるように最低発注金額や最低発注数量等を必ず見積書に明記しましょう。
また、代金支払いの際にも必ず銀行手数料や通貨によっては為替売買の手数料が発生します。この手数料もなかなか侮れないので、事前にしっかりチェックしましょう。

【輸出価格の通貨はどうする?】

一番リスクが少ない方法…それは円建てで売買すること。為替変動リスクを負わなくて良い上に、為替売買による銀行手数料が少なくて済むからです。ただ、残念ながら日本円は基軸通貨ではないため、欧米諸国では日本円での決済を嫌がられることが多いのです。東南アジア諸国では比較的日本円が受入れられる場合も多いので、一度打診してみる価値はあります。
では、売買を日本円以外の通貨で行う場合はどうするのか? やはり基軸通貨である米ドルが一番効率が良いのです。当然、為替変動リスクは切り離せませんが、それはユーロであれ、その他の現地通貨であれリスクは同じ、もしくは米ドル以上に高くなります。そして何よりも、外貨⇔日本円に換金する時の手数料が、他の通貨に比べて米ドルは圧倒的に安くなるため、代金決済にも有利になります。

輸出価格の設定にあたっては考慮すべきコストが沢山あります。全ての項目において、必ず数社から相見積りを取り、選択肢の幅を広げておきましょう。

次回は輸出ビジネスで失敗しないための実務-代金決済編について解説します。

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