輸出ビジネスで失敗しないための実務-代金決済編

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輸出価格に加味すべき費用や価格設定の考え方、取引通貨についてイメージができてきたところで、次に代金の回収をどうするかを考えてみましょう。貿易の性質上、異なる国と国の間における商品の売買取引となり、売り手と買い手とが遠く離れているため、売買の成立や商品の引渡し、代金決済の時期がズレて行われます。特に代金が後払いの場合、売り手(輸出者)には商品を出荷したが代金を回収できない不安が残ります。

一方、代金が先払いの場合、買い手(輸入者)には代金を支払ったが商品が届かない不安が残ります。つまり貿易では、輸出者にとって都合の良い支払条件は輸入者にとってリスクとなり、輸入者にとって都合の良い条件は輸出者にとってリスクとなるため、相反する関係にあるのです

最初に取引相手の信用調査に時間を掛けてしっかり行うようアドバイスしたのも、取引条件の交渉をするにあたり、取引相手に対して許容できるリスクの範囲を慎重に判断するのに必要だからです。

実際問題、輸入者から期日までに支払がなかったとしても、すぐに現地に飛んで行って代金回収、または差押えするのはほぼ不可能です。最悪の事態を想定しつつ、相手の信用度を考慮し、自社にとってのリスクの許容範囲を考えてみましょう。では、リスクヘッジするために、実際にどのような代金決済方法が貿易実務で取入れられているのか見てみましょう。

【T/T送金(電信送金)】

銀行経由の海外送金で、最もよく使われています。手続きが簡単で資金到着が早く、銀行手数料も少なくてすみます。サンプル購入や初回取引などで売買金額が少ない場合は、T/T送金の100%前払いを条件にしても良いでしょう。但し、売買金額が大きくなってくると、当然ながら殆どの輸入者は100%前払いを嫌がります(輸入者が100%リスクを被ることになるため)。そこで、貿易実務でよく用いられるのが、お互いリスクを分担するためデポジット(前金)とバランス(残金)支払いに支払時期を2回に分けます。注意すべきは支払いの比率とタイミングです。

① 比率
輸出者としては、できる限り前金の割合を増やしたいところですが、リスクを平等に負担するのであれば、50%前金/50%残金支払いがフェアだと思います。一度契約書を締結すると取決めた支払条件を途中で変更するのは非常に難しいので、この前金/残金の比率は事前にしっかり交渉しましょう。

② タイミング
・ デポジット(前金): できればオーダー受領後1週間~10日以内
デポジットはオーダーのキャンセル防止にもなりますし、輸出者はデポジットを原材料の調達に充てることも可能だからです。
・ バランス(残金): 船荷証券(= Bill of Landing: 通称「B/L」と呼ばれます)発行後3~7日以内

輸出者にとっては残金の回収は早いに越したことないですし、本来ならば残金は船積みする前に回収したいところ。ただ、輸入者側からすると本当に全ての貨物がきちんと船積みされたのか確認もできない内から残金を払うのは非常に不安です。そこで、船荷証券(B/L)が大いに役立つのです。船会社は、貨物の船積みを確認する際に受領証を発行します。その受領証がB/Lです。B/Lは船会社によって貨物が確実に船に積込まれたことを証明する書類であり、輸入者はB/Lの発行を以って貨物の船積みを確認することができるため、安心して残金の支払いをすることができます。

また、B/L Original(原本)は有価証券でもあり、輸入者が貨物を引取るための引換証になります。つまり、輸出者がB/L原本を輸入者に引渡さない限り貨物の所有権は輸出者にあるため、輸出者も安心して残金入金前に貨物を船積みすることができます。そして最も大事なことですが、輸出者がB/L原本を船会社に戻す(これを「元地回収」または「サレンダー」と言います)と、輸入者はB/L原本がなくても貨物を引取ることができるようになるため、輸入者にはまずB/Lコピーを送って残金の支払い依頼をし、B/L原本は残金の入金確認をしてから船会社に戻します。

また、航空便を利用する場合に航空会社から発行される航空貨物運送状(AWB= Air Waybill)には有価証券としての機能はないため、輸入者は原本がなくても貨物を引取ることが可能です。航空便を利用する場合は、必ず残金の入金確認をしてから航空便を手配することをお勧めします。

【L/C(信用状)】

大きな取引をする場合に最もよく使われるのが信用状(L/C =Letter of Credit)による決済です。信用状とは、輸入者の依頼により輸入者の取引銀行が輸出者に対し商品代金の支払いを保証する書類で、輸出者は輸出者の取引銀行を通じて代金の取り立てを行います。つまり、輸出者と輸入者、それぞれの取引銀行による信用関係で成り立つ支払い方法です。L/Cの発行は銀行にとってもリスクが伴うため、銀行は実績のない会社や取引のない企業に対してはL/Cを開設してくれません。つまり、「L/Cが開設できる会社=銀行から信用がある会社」と見なすことができます。L/Cのメリットとしては、もちろん銀行が代金支払いを保証するので代金回収のリスクが低い、輸入者が決済する前でも輸出者はL/Cを担保にして銀行から現金を調達することができることです。デメリットとしては、銀行手数料が高い、L/C上で取引に細かい条件が付く(船積み期限や積地港、揚地港、商品名、数量、金額、貿易取引条件等)、L/Cに記載された諸条件(船荷証券など買取りに必要な書類含む)と一致していないと買取りしてもらえない場合があるので手続きが複雑なことです。

① L/C開設のタイミング
L/Cはオーダー受領後できるだけ早く開設してもらいましょう。輸入者が取引銀行にL/C開設を依頼すると、通常1週間くらいで輸出者が指定する輸出者の取引銀行経由でL/C開設の通知が届きます。

② L/Cのチェックポイント
・ 商品名や数量、金額、取引条件、納期などが売買契約と一致しているか
・ 取消不能L/Cであるか
万一、売買契約で取り決めた内容と相違がある場合や、L/Cの内容に誤りがある場合はL/Cをアメンド(修正)してもらう必要があります。

以上、2つの代金決済方法をご紹介しました。取引の初期や取引金額が小さい場合はT/T送金、大口取引になってきたらL/C決済と考えれば良いでしょう。つまり、売買契約書の支払条件は「T/T送金(比率とタイミングの明記はお忘れなく!)またはL/C開設」とするのがベストです。

次回は輸出ビジネスで失敗しないための貿易実務-いよいよ売買契約締結編について解説します。

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