輸出ビジネス成功の明暗を分ける心構えと前準備

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海外市場調査を経て、ビジネスマッチングや海外見本市・展示会等にてバイヤーと接触する段階になったら、いよいよ本格的な交渉スタートです。初めての輸出ビジネスで不安の中、自社の商品やサービスに興味を持ってくれるバイヤーは「神様」に見えるかも知れません。嬉しい気持ちは十分理解できますが、ここは一つ冷静になって客観的に相手を見極める大切な時期だと心得て下さい。

【ファーストコンタクトでどこまで情報を開示する?】

まず、ビジネスマッチングによる引合いや展示会等で開示する情報は一般カタログに記載してある商品情報やスペックまでに留めた方が得策です。また、価格や取引条件に関しても、全ての取引先に対して共通のプライスリスト(価格表)を事前に準備しておき、参考の輸出価格を提示します。 もうお気づきだと思いますが、共通のプライスリストは最小発注数量(もしくは最低発注金額)を想定して、メーカー希望の輸出価格で作成します。この共通プライスリストをベースに、個別の取引条件を詰めながら価格交渉して行くので、最初から交渉の余地が殆ど残らないような条件提示は絶対に避けて下さい。海外取引において、条件交渉や価格交渉は当たり前です。そして既にここから腹の探り合いは始まっているのです。

【Non-Disclosure Agreement(機密保持契約)を締結する】

日本国内での取引では、あまり見かけない契約ではないでしょうか?海外との商習慣の違いもありますが、取引先(候補)と交渉を進める上でとても重要な契約となります。
例えば、交渉を進めて行く中で、当然商品やサービスに関連する詳細データ、資料、成分表、試験結果、技術データ、図面、申請中の特許、ノウハウ等、色々な情報の提供を求められます。そこで、100%相手を信頼して、何の制約もなく自社の機密情報を開示するとどうなるか? 取引先候補にのみ重要な機密情報を開示したのに、知らないうちにライバル社やその他の第三者に情報が流出していた、いつの間にか類似品や類似サービスが世間に出回っていた…なんてことが往々にして起こりうるのです。NDA(=機密保持契約)を締結する理由は、自社の機密情報の漏洩を防ぐため、そして何よりも安心して相手に情報を開示し、スピード感を持って、かつスムーズに交渉を進めるためです。
性善説に基づいた日本人的な発想は、海外取引では思いも寄らないトラブルの原因になるため、相手を信用しすぎず、念には念を入れて、NDAは必ず交渉に入る前に締結しましょう。

【信用調査をする】

海外ビジネスを成功させる大きなポイントは、信用できる相手と継続的な取引をすることです。きちんと契約を履行してくれる誠意ある取引先と信頼関係を築き、長期間に渡るパートナーシップを確立することが成功のカギと言えます。
では、相手の何を調査するのか? 信用調査には、「4C」と呼ばれるポイントがあります。

1. Capital (資産や財務状態)
2. Capacity (営業能力)
3. Character (誠実性、信頼性)
4. Conditions (政治的・経済的事情)

★ 「4C」を調査する方法

① インターネット
インターネットが普及する昨今では、殆どの会社が自社ホームページを持っているので、そこから会社概要を確認する。
② 銀行信用照会
自社の取引銀行を通して、相手の取引銀行に打診してもらう。
③ ダンレポート
D&B社が行う世界で最も利用されている企業信用調査で、世界中の企業の信用格付けや財務、経営状況等を記載している。日本では、東京商工リサーチが窓口となっています。

相手の財務基盤や営業能力・信用力が、後の輸出価格や支払方法、取引条件等の取決めに大きく影響します。また、今後の代金回収リスクや事業の発展性を考えたら、多少投資してでもパートナーの信用調査は必ずしっかりと行うことをお勧めします。

【交渉にあたっての心構え】

日本ではよく、「お客様は神様です」なんて言葉聞きますよね。実際、日本では買う側の立場の方が圧倒的に強いのが一般的です。
では、この常識が海外ビジネスでも一般的なのか? 答えは「NO」です。実は、海外ビジネスでは売り手も買い手も基本的に立場は同じと考えるべきです。むしろ、売り手の方がちょっと強気な場合が多いのです。なぜなのか? 売り手が商品やサービスを売ってくれないと、買い手は幾らそれらが欲しくても手に入れることができない。つまり、売り手が供給してくれて、はじめて買い手が利益を得ることができると言うのが基本的な考え方です。
相手先(買い手)から無理な要望をされたら、ハッキリと「NO」と言う勇気を持ちましょう。もちろん交渉事なので多少の譲歩は必要ですが、無理難題を飲み込んでまで取引したい相手なのか? その相手に自社の大事な商品やサービスを供給する価値はあるのか?など、冷静かつ客観的な判断が必要となります。また、交渉を有利に進めるため、時には「売らない」という選択肢をチラつかせるのも交渉テクニックとしてアリなのです。もちろん、横柄な態度はもってのほかですが、「売り手が買い手を選ぶ」と言うことを念頭に置いて、交渉を進めてみててください。きっと、どんどん交渉が楽しくなってくるハズです

次回は輸出ビジネスで失敗しないための実務-実践編について解説します。

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