海外企業との販売店契約で起こりやすい貿易取引のトラブルを避けるための3つのポイント 中編

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深野:シリーズでお届けしております、島津弁護士に解説していただいている、「販売店契約で起こりやすいトラブルを避けるための3 つのポイント」です。

今回は2つ目をお届けします。2 つ目は、販売店の働き、トラブルについてです。
さっそく質問なのですけれども、販売店の働きぶり、特に売り上げについてどんなトラブルが考えられますか?

島津:これはもうシンプルに、その販売店が、日本企業が期待したような売り上げを上げてくれない。

日本企業からしたら、海外進出の方法のひとつとして販売店を指名したのに意味がないではないかと。

全く期待外れだといったようなことはあり得ますね。

深野:中小企業でまだまだブランド力が弱かったりすると、契約はしたもののなかなか売れないというのはよくある話なのですね。

質問の2 つ目なのですけれども、そういったトラブルを防ぐために、何に注意したら良いのでしょうか。

島津:はい。日本企業としては、働きが悪いと、やはり改善を求めますが、それでもなかなか良くならないし、良くなる見込みも立たなそうだと考えた場合、もう契約をやめたい、解除したいという判断になると思います。

ただその場合、単に「あなたは働きが悪いから、もう契約やめます」と言っても、当然販売店側も言い訳があり、「うちのせいじゃない」とか、「そもそもあなたの商品が悪いのだ」とか、いろいろともめるわけです。

そこでスムーズに契約を解消できるよう、戦略を変えられるようにしておくには、「そもそも契約中にこれだけの量をこの販売店は買わなきゃいけないですよ。月々なのか年間なのか、これだけの個数、量といったものを買う義務があります。

そういう前提で契約しているのです」ということを約束しておいて、販売店の実績が悪いということは、当然どんどん仕入れする量も減っていくわけですから、「最低限これだけ買いますよ」と言ったラインを下回ってしまったら、そこで「あなたの販売店は契約違反だから解除します」としておく。

こういう流れになります。

努力目標は責任の水掛け論になりがち。「義務」を明記することで責任の所在がはっきりする

深野:私も過去、某南ヨーロッパの企業ですけれども、ここの条文を少し甘い内容にしてしまって、「ここを目標値としてやっていこう」みたいな書き方をしてしまって、だいぶ下回ってしまったのです。

その時に、だいぶ下回っているので契約を終わりにしようという話をさせていただこうと思ったら、「われわれはこれまでマーケットにどれだけ投資してきたか。そ
れを回収できないのはメーカー側にも責任がある」と、お互いに言い合うような感じになってしまって。

島津:そうですね。水掛け論になりますね。

深野:まさに水掛け論でした。やはり、こういった所をしっかりと押さえておかないといけませんね。押さえておかなかったがゆえに、そういった所で強く出られないことにつながってきてしまったわけです。

島津:そうですね。これは非常に重要な点です。まさに販売店に売り上げてもらって、売り上げを拡大するために選んでいるわけですから、そこで実績を上げてくれなければ仕方がないわけで、それを「努力目標でなくて義務ですよ」というふうにしておくのが大事です。

深野:例えば、お互いの合意の下で数値を決め、それに満たない場合には契約の解除になることがある、というようなことを明確に書くわけですね。

島津:そういうことです。

深野:わかりました。では次に、売り上げのほか、販売店の働きぶりでは、どんなトラブルが考えられますか。

島津:それは売り上げとも関連するのですけれども、プロモーション、販促活動ですね。それも実績数値に表れてくる部分だろうと思うのですけれども、そこの部分でも日本企業の期待を下回っている、期待外れだといったようなことです。

要するに現地での知名度が上がってないとか、お金ばかりかかってしまってうまく広がっていないといったようなことがあり得ると思います。

深野:ありがとうございます。では、トラブルを避けるためにどんなことに注意したら良いでしょうか。

例示をあげつつ契約書で活動や実績報告を義務付ける

島津:そういったトラブルに関しては、特に販売店のせいというか、「販売店の活動に問題があるからですよね」と言えるようにしておくことがやはり重要です。

契約書の中で販売店に対して1 つの販売店の仕事、義務として、きちんと販促活動、プロモーション活動をすることを明確に定めておく。

そのやり方は、チラシを配るのかインターネットを使うのか、いろんな手段があると思いますが、それをはっきりと例示なり、内容をきちんと書いておいて、スタッフを何人置いてどういった目標でやってもらって、その結果とかも定期的に報告してもらう。

そういったようなことをまず、契約書に書き込んでおくということです。

深野:例えば、定期的なセミナーですとか展示会に出展した場合の来場者数、見込み客をどのぐらい獲得してどのくらい成果につながっていったかをちゃんとレポートしてもらうとかを明記するということですね。

島津:まさにそうですね。

深野:私は過去に、そういうことをしていなかったためにこういう失敗があったのです。私が当時扱っていた製品が、ビジュアル的に非常にアピールが強く、展
示会で非常に客引きが良かったんです。

でも、1 年くらい経ってようやく分かったのですが、販売店が私たちの製品を使って、自分たちが今まで入っていなかった業界を開拓して、違う製品を売っていたのです。

われわれとは完全には競合しないものなのですけれども、代替品を売っていたということがありました。

やはり契約書の縛りが弱かったからこういうことになってしまったわけです。

島津:そうですね。契約書できちんと縛っておいて「こういったことはできませんよ」と、防がないと、自社のために動いてもらうように販売店を選んだのに、ど
んどん勝手に競合他社に成長されては困ると思います。

深野:分かりました。ありがとうございます。では次の質問ですが、独占的販売店に出し抜かれないようにするにはどのような注意をすれば良いでしょうか。

活動や売り上げ実績を怠ると企業利益を損なうことも

島津:はい。まさに先ほどから話している販売店の活動、売り上げの実績について義務付けをするというのは、特に独占的な販売店にした場合に大切なことになります。

なぜなら、日本企業からしたら進出するための手掛かり、ステップになるのはその販売店しかないので、その販売店の人の働きが悪かったり、その人に勝手なことを
されてしまったりしたら、利益が大きく損なわれてしまうわけです。

出し抜かれるということに関しては、先ほど深野さんが例を出していただいたことに、まさにあてはまると思うのですが、勝手に競合他社の製品を仕入れて取り扱っ
てしまっているとか、自社で勝手に新しい市場を開拓していってそれを独自品として売ってしまっているとか、そういったことが考えられます。

深野:過去にひどい会社では、その会社からさらに販売されて、そこから表のマークを付け替えて勝手に販売するというとんでもない業者がいたようです。

本当に気を付けていないと、海外では何が起こるか分からないですし、しっかりしておかないと痛い目に合います。

島津:したがって、契約書上は「販売店に関しては競合品とか類似品を扱ってはいけない」とか、「新規に開拓してはいけない」と。

少なくとも事前に話し合って、日本企業が「いいですよ。

そういう戦略でいきましょうよ」と言うのだったらいいわけですけれども、「勝手にやらないでください」

ということをきちんと定めておくということですね。

深野:例えば、「ブランド名を勝手に変えて販売してはならない」とか。そういった所も含めて、可能性のあることは条文に入れた方がいいということですね。

われわれはつい、遠慮してしまうような所があるのですけれども、そうではなくて、やはり自分たちを守るために、常識的なことで「こんなことはやらないだろう」ではなくて、しっかりと可能性のあるものは全部入れておくということが重要なのですね。

島津:まさにそうですね。

クレームの責任や対応範囲も忘れずに明記する

深野:次の質問なのですが、万が一、不良品や故障品の問題が生じたり、顧客からクレームを受けたりする場合に備えて注意しておく点は何がありますか?

島津:不良品や故障品が発生しないようにやるのが当然ですが、どうしても発生してしまうこともあると思います。そこはあらかじめ契約書において、そういったクレーム、要するに「不良品や故障品がありましたよ」ということを顧客の方が気づいた場合に、メーカー、日本企業自体がそれに対応したり責任を持ったりするのか、それとも販売店の方でそういったことをしてもらうのかをきちんと定めておくことです。

日本企業側としては、メーカーである以上、最終的な品質に関してはやはり責任を持たなければいけない部分もあるかとは思います。

しかし、できるだけ顧客対応とか現地で発生したことへの対応については、やはりそのために販売店を選んでおりますので、販売店の方でそれをやってもらう方が良いでしょう。

クレームなどが発生した場合には、販売店が顧客から連絡を受けて、受付を
して現地で対応をする。そういったことを定めておくと
いうことが大切になります。

深野:例えば販売店の一時対応ということがよく言われますけれども、その一時対応の内容についても、どこまでやって欲しいのかということを明確にしておくことが大事なのでしょうか。

島津:おっしゃる通りで、顧客から連絡を受けるだけなのか、何が原因でこういったことになったのか、それがもともとの製品の問題なのか、例えば気候に左右されるような製品だった場合、現地の気候の問題なのか、ある程度そういった原因を調査することに関しても、どこまでどのように協力してもらうのかどうかといったところも含めて書き込むようにした方がいいですね。

深野:分かりました。ありがとうございます。最後の質問なのですが、自社のブランドイメージや商標、知的財産を守るためにどのようなことに気を付けたらいいで
しょうか。

島津:製品には銘板がついていたり、ロゴマーク、サービスマークなど、いろいろなマークがついていたりすると思いますが、それを現地ではどのようにして販売してもらうのか、販売店に○○社、本社の代理店、販売店と名乗らせていいのか、そういったことに関しては認める場合もあれば認めない場合もあります。

そこはやはり、進出しようとする際の戦略、ブランドイメージをどう考えていて、現地でのイメージを浸透させたいからとか、戦略に基づいて認める、認めない、を
決める必要があります。

認めるのであればどういった条件で使用できるのか、ライセンス料をいくらにするのかとか、そういったことを含めて定めていくことですね。

あとは使用できる範囲というか目的です。「何の製品の販売だったらいいですよ」「これは駄目ですよ」と書いておく。使用を認めないのであれば、はっきりとそれ
を書く。

それをもし販売店が侵して勝手に使用したのであれば、「それは契約違反です」と言えるようにしておくことが大切です。

深野:10 年ほど前のことですが、私が東南アジアに行っていたころ、販売店ではないのにその会社のロゴを展示会とか、いろいろなところに付けており、どこが販
売店なのか分からないということがありました。

そういったところもしっかりとやっておかないといけないですよね。

島津:そうですね。

深野:あと、名刺に使ったり、販促物だったらいいけれども、ホームページの場合にはメーカーと混同しないような内容にするとか、明確なライン引きが必要ですね。

島津:まさにそういったことが大切になります。

深野:分かりました。今回は、「販売店契約で起こりやすいトラブルを避けるための3 つのポイント」の2 つ目の、販売店の働き、トラブルについてご解説いただき
ました。引き続き、よろしくお願います。

島津:こちらこそよろしくお願いします。

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【Profile】島津圭吾 R&G 横浜法律事務所所属弁護士。海外取引法務を得意とし、取引基本契約、秘密保持契約、技術支援に関する契約、ライセンス契約、不動産賃貸借契約、販売代理店契約、プロジェクト契約、合弁契約等を取り扱う。海外取引が初めての相談者にも丁寧に対応と分かりやすい解説に定評がある。

問い合わせ:R&G 横浜法律事務所 TEL:045-671-9577(代表)e-mail:shimazu@rglo.gr.jp

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