中小企業は航空宇宙産業に参入すべきなのか?

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ここ数年、航空宇宙産業へ関心をもつ中小企業が増えています。これは、航空宇宙産業を伸ばしたい政府の方針により様々な施策がとられているためです。中小企業庁によると、世界の航空機製造業生産高は2013年が年間24.5兆円。これが2032年には倍の生産高になると予想されています。このように高い成長性が見込まれている市場なのです。

このような背景から、航空宇宙産業への参入を検討する中小企業がでてきています。実際、航空宇宙分野の展示会に行ってみると、中小企業が地方自治体のブースが支援しているブースなどで展示をしています。しかし、実際に話を聞いてみると、まだ具体性のない会社が多いのが実態のようです。なぜなら、国内では戦後、三菱がMRJの開発を始めるまで、民間旅客機を製造する企業がありませんでした。その期待のMRJもまだ量産段階に入っていません。

では中小企業が航空宇宙産業に参入すべきなのでしょうか?
その可能性とコストについて考えてみたいと思います。

中小企業は航空宇宙産業に参入すべきか?

では、実際に中小企業がのどの部分に参入できるのか考えていましょう。前述しましたとおり、国内の民間航空機は量産段階に入っていません。一部、自衛隊用の飛行機もありますが、生産数が少なく、ビジネスとして期待できません。そうなると、世界航空大手のエアバス(フランス)やボーイング社(アメリカ)と取引をすることが必要となってきます。

例えばボーイング社の「B787」はどうでしょう?
どの部材に日本の技術が入っているのか調べてみました。

機体の35%、
エンジンの15%の部品を
日本企業が供給しています。

実際、日本企業の活躍は部品や素材などの分野が中心です。ここで中小企業が活躍できる可能性があるわけです。しかし、簡単に参入できるわけではありません。

参入するにはNadcapという航空宇宙分野の規格を取得する必要があります。Nadcapは、
サプライヤーの品質維持を目的とした特殊工程管理のための認証プログラムです。

この参入にはそれなりのコストと時間がかかります。
中小企業庁の資料によると、平均で300万円くらいかかっています。

しかし実際はこれだけではありません。規格にあった設備投資と維持・管理費
検査員のトレーニングなどかなりの金額の投資が必要になります。規格を取得するにも平均で1.5年くらいかかっているそうです。

さらに、エアバス社やボーイング社、その他の航空機メーカーに部品を供給するためには、それぞれのメーカーの規格を取得する必要があります。例えば、エアバス社には非破壊検査の工程すべてに対して規格があります。それらは1つあたり取得するのに150万円くらいかかります。それを少なくとも2つ取得することが必要となります。

それだけではありません。航空機の飛行性能と安全に関わる部品は何度も試験をしなくてはいけません。つまり、量産化するまで時間がかかるのです。

航空宇宙産業に参入するには初期投資費、維持管理費、回収までの長さをよく検討する必要があります。業界では投資から回収まで10年かかると言われています。中小企業にとって10年後に回収できる見込みのビジネスに投資することは簡単なことではありません。

将来性のある航空宇宙産業は魅力的です。しかし、同じ投資をするなら既存のビジネスを伸ばした方が良いという考え方もあります。

新規事業は魅力的ですが、既存の事業を見直してみることもおすすめします。まだまだやれることが沢山あるはずです。

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